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京都大学霊長類研究所のアイたち13人のチンパンジーが、ふだん住んでいる場所へご招待します。
WISH大型ケージ  チンパンジー研究の新時代

2011年度に、縦横20メートルの比較認知科学大型ケージ設備2基が完成しました。 これは、日本学術振興会最先端研究基盤事業に採択された、「心の先端研究のための連携拠点(WISH: Web for the Integrated Studies of the Human Mindの略)構築事業」によるものです。

以前あったサンルームと比べて、大型ケージ2基は、13メートルから16メートルと高さも倍以上となりました。 屋外放飼場をこの2基の大型ケージをつなぎ自由に行き来ができるようにしたことで、チンパンジー自身が好きなところへ行けるようになりました。

野生のチンパンジーは100個体を超すこともある大きなコミュニティを形成します。しかし、群れの全員が一緒にいるわけではなく、小集団に分かれて暮らしています。 大型ケージを導入し、複数に分かれた飼育エリアをチンパンジー自身の意思で行き来できるようにしたことで、野生同様の、集まっては離れる、離合集散型の暮らしが可能となりました。

「好きなところへ行く自由」と同時に、「好きなときに食べる自由」も実現しました。
大型ケージ設備に隣接する実験スペースに設置されたコンピュータパネルで、いつでも好きな時に好きな場所で実験できるようにしました。 チンパンジー自らが来たいと思った時にモニタの前にやってきて課題をこなし、正解すればごほうびの小さなリンゴ片ももらうことができます。 ビデオカメラを通して顔を認識し自動的に顔を識別するシステムによって、どのモニタの前に誰が来ているかが自動識別されるため、各チンパンジーにあったコンピュータ課題が自動で始まるようになっています。

屋外放飼場のタワー上でくつろぐアイ・アユム。そこからズームアウトすると... (右に続く)
屋外放飼場を取り囲むようにそびえる巨大な2つの建物がお目見え(2012年3月撮影)

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屋外放飼場  太陽があり,土があり,緑があり,水があり,仲間がいる暮らし
チンパンジーがチンパンジーらしく暮らせるよう,「太陽があり,土があり,緑があり,水があり,仲間がいる暮らし」を目指した。放飼場の面積は695平米ととくに広いわけではないが,内部には高低差を利用した還流式の小川があり,大小さまざまな木々が生育している。そして,中央にそびえ立つのは,鉄骨とロープと丸太からできた,複雑な構造の3次元構築物である。高いタワーは,本来は半樹上の生活をおくるチンパンジーたちが,野生と同じような行動ができるようにつくられている。
岩波書店「科学」2005年9月号 Vol.75 No.9 連載ちびっこチンパンジー第45回 落合知美・熊﨑清則・松沢哲郎『高さ15mのタワーを作る』より引用

高さ15mのトリプルタワー

屋外放飼場には、高さ8mのジャングルジムがありましたが、1998年7月に15mのトリプルタワーを増築しました。 チンパンジーは、日中の約80%以上の時間を、この構築物の上で過ごしていることが分かっています。

15m地点では犬山市を一望することができます。チンパンジーはしばしば、犬山市街を眺めています。

トリプルタワーには、丸太でできたプラットフォームや、ロープなどを取り付け、チンパンジーが快適に生活できるように工夫されています。

満開の桜とアキラ(2009年撮影)
タワー間にはりめぐらされたロープをわたるレイコ(左)と孫のパル(右)(2002年撮影)
ロープを渡る子供たち(2002年撮影)

樹木・植物・小川

屋外放飼場には、植物もたくさん成育しています。1996年の調査では、63種390本以上の樹木の成育が確認されました。
季節により、花が咲いたり実がなったり、葉が紅葉したりします。チンパンジーはそれらの植物を自由に食べたり、遊んだりすることができます。

屋外放飼場には小川も流れています。そこには鯉が住んでいます。どこから入ったのか、ウシガエルやコオロギたちもすっかり住人となってしまいました。また、これらの動物を求めて、カラスやスズメ、サギなどの鳥達もやってきます。

植物を集めて、タワーの上でベット作りをしているクロエ(1998年撮影)
水が流れる小川(2002年撮影)
草を手に、タワー上部へのぼってゆくレイコ(2009年撮影)

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