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Imura T, Masuda T, Wada Y, Tomonaga M, Okajima K (2016) Chimpanzees can visually perceive differences in the freshness of foods Scientific Reports 6: 34685

チンパンジーは、葉や果物のハリ、ツヤの違いを区別する


Tomoko Imura, Tomohiro Masuda, Yuji Wada, Masaki Tomonaga, Katsunori Okajima

Chimpanzees can visually perceive differences in the freshness of foods

Scientific Reports, 6: 34685, doi: 10.1038/srep34685




概要

新潟国際情報大学の 伊村 知子(いむら ともこ)准教授(研究実施当時 京都大学霊長類研究所 特定助教)、文教大学の増田知尋(ますだ ともひろ)准教授、国立研究開発法人農業・食品産業技術総合研究機構の和田有史(わだ ゆうじ)上級研究員、京都大学霊長類研究所の友永 雅己 (ともなが まさき)教授、および横浜国立大学の岡嶋克典(おかじま かつのり)教授の共同研究グループは、京都大学霊長類研究所でおこなわれた認知実験によって、チンパンジーが葉や果物のハリ、ツヤのような瑞々しさの違いを見た目から区別できることを発見しました。また、その手がかりは色ではなく、輝度(明るさ)の分布の違いであることも示しました。これまで、霊長類の色覚は果物の熟し具合や若葉を見分ける上で重要だと考えられてきましたが、 この研究から初めて、チンパンジーが明るさの分布を手がかりに新鮮さの違いを見分けることが明らかになりました。 この成果が、2016年10月6日(英国時間)に、英国の総合科学誌ネイチャーの姉妹誌「Scientific Reports」へ掲載されました。(なお、本研究成果は、伊村知子が、京都大学霊長類研究所思考言語分野に特定助教として在籍していた期間に得られたものです。)

背景
私たち人間は、一目見ただけで野菜や果物が新鮮かどうかを判断する能力を持っています。人間では、こうした「鮮度」の判断に、色だけでなく明るさの分布のパタンを利用することがわかっています。このように食物の状態の違いを視覚のみから判断する能力は人間に限られたものなのでしょうか。本研究では、人間に最も近縁なチンパンジーを対象に、野菜や果物のハリ、ツヤの違いを見た目から判断する能力とその手がかりについて実験的に調べました。

研究手法・成果
京都大学霊長類研究所のチンパンジー3頭を対象に、チンパンジーが普段から食べているキャベツや小松菜、イチゴの写真を用いて、2枚の写真のうち、より新鮮な方を選択できるかどうかを調べました。まず、図(下図)のように、キャベツの葉の表面が時間経過とともに劣化していく様子を撮影し、その一部を切り抜いた10 枚の写真(購入後 1 時間後, 2時間後, 3時間後, 5時間後, 8時間後, 15時間後, 19時間後, 23時間後, 27時間後, 32時間後に撮影したもの)を用意し、そのうちの特定の2枚(1時間後と32時間後、2時間後と27時間後、3時間後と23時間後、5時間後と19時間後、8時間後と15時間後の組み合わせ)を画面上に提示して、より新鮮なキャベツの葉の写真の方を選択するように訓練しました。その後、訓練で使用していない新たな組み合わせの写真を画面に提示して、より新鮮な方を選択できるかを調べたところ、チンパンジーは初めての組み合わせでも、高い確率でより新鮮なキャベツの写真の方を選択することがわかりました。また、この写真をモノクロに変換した写真を用いた場合でも、より新鮮なキャベツの写真を選択することができました。このことから、チンパンジーは鮮度の異なる野菜や果物の写真を区別できること、輝度にかかわる情報が食物の状態の判断の手がかりとして用いられることが示唆されました。


上図. 実験に取り組むチンパンジー、アイ。画面上に提示される2枚のキャベツの葉の写真のうち新鮮な方に触れると正解。
下図. 本実験で使用したキャベツの葉の写真。

Abstract

Colour vision in primates is believed to be an adaptation for finding ripe fruit and young leaves. The contribution of the luminance distribution, which influences how humans evaluate the freshness of food, has not been explored with respect to the detection of subtle distinctions in food quality in non-human primates. We examined how chimpanzees, which are closely related to humans, perceive the freshness of foods. The findings suggest that chimpanzees were able to choose fresher cabbage based on both colour and grey-scale images. Additional tests with images of novel cabbage, spinach, and strawberries revealed that one chimpanzee could detect the freshness of other fruits and vegetables. The critical factor in determining the judgements of freshness made by the chimpanzees was the spatial layout of luminance information. These findings provide the first known evidence that chimpanzees discriminate between images representing various degrees of freshness based solely on luminance information.


Keywords

Evolutionary developmental biology, Human behaviour



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