ホーム 報告書 松永雅之, 岡橋要『タンザニア研修報告 -野生動物および生息地の観察-』(2009年8月28日~9月6日)

松永雅之, 岡橋要 (京都市動物園)

タンザニア研修報告野生動物および生息地の観察 2009年8月28日~9月6日
目的
 

 飼育動物の生息地に赴き,彼らの生息環境や行動を観察し理解を深めることによって,さらに良好な飼育展示を目指す。
 また,彼らの置かれている現状を市民および職員にフィードバックする。

行程
 
時刻 内容
8/28 23:15 関西国際空港発
8/29 04:45
10:50
15:20
ドバイ着
ドバイ発
ダルエスサラーム着,市内ホテルへ移動・オリエンテーション
8/30 09:20
12:30
15:00
17:00
ダルエスサラーム発
キゴマ着
キゴマ発(ボート)
ゴンベ着
8/31 午前 チンパンジー・トレッキング
9/1 午前
14:30
17:00
チンパンジー・トレッキング
ゴンベ発(ボート)
キゴマ着
9/ 2 午前
12:30
15:15
キゴマ自由
キゴマ発
ダルエスサラーム着
9/ 3 08:00
12:00
午後
ダルエスサラーム発
ミクミ着
ゲームドライブ
9/ 4 午前
14:00
18:00
19:30
ゲームドライブ
ミクミ発
ダルエスサラーム着
クワへリ会
9/ 5 午前
16:25
23:20
ダルエスサラーム自由
ダルエスサラーム発
ドバイ着
9/ 6 03:10
17:20
ドバイ発
関西国際空港着
メンバー
 
関西国際空港 ~ ダルエスサラーム ~ ゴンベ国立公園
 

経路(日本~タンザニア)

経路(タンザニア国内)

ドバイ国際空港

ダルエスサラーム空港
(ジュリウス・ニエレレ空港)

ダルエスサラーム市街


ゴンベ国立公園へ


キゴマ空港


キゴマ市街


タンガニーカ湖

チャーター船でゴンべ国立公園へ

タンガニーカ湖から眺めた山並み

伐採され山肌が出ている湖岸の山や土地

湖岸の集落

ゴンベ国立公園入口

国立公園に入ると樹木が増えてくる



湖岸にたたずむヒヒ

湖岸の近くを歩くチンパンジーの親子
ゴンべ国立公園訪問
 

ゴンベ国立公園入口の看板

レストハウス

ヒヒ

グェノン

チンパンジー・トレッキング

比較的明るい森

寝転がるオス


道を移動するオス



オス同士のグルーミング


チンパンジーのエサになっている果実 Canthium

チンパンジーのエサになっている果実
Mabungoのワッジ

チンパンジーのフン

チンパンジーの後を追う

道で休憩し,グルーミングする群れ

至近距離を通過

子どもを背負って移動するメス

尾根上から見たゴンベの森

樹上のアカコロブスの群れ

チンパンジーの狩猟シーン: 群れで樹上のアカコロブスを追いつめ狩る






アカコロブスを食べるチンパンジー



採餌後くつろぐ個体

ミクミ国立公園訪問
 


車で向かう

車窓から見た風景

焼き畑

サイザル麻畑

木炭

バスターミナル




ミクミ国立公園到着

Vuma Hill Tented Camp



アフリカスイギュウ
乾期のため,サバンナの緑は非常に少ない

インパラ

リードバック

オグロヌー

グランドシマウマ

ライオン


ジャッカル

マサイキリン

カバ

ワニ

アフリカゾウ

ドロあびをするアフリカゾウ

イボイノシシ

シュモクドリ

シギダチョウ

ハゲワシ

ジサイチョウ

所感 -タンザニア研修を終えて-
 

全日程で10日間という短い期間の研修であったが,非常に有意義な研修であった。チンパンジーに関しては,その生態のみならず,生息地の植物相についても観察することができた。特に印象的であったのは,類人猿の中でもチンパンジーに特異的に見られる肉食を観察する機会に恵まれた点であった。群れで協力し,樹上のサル(アカコロブス)を追いつめ,捕食する様子を離れたところから観察でき,その後骨をしゃぶる様子やその音までが至近距離から観察する事ができた。
そのほかにも本来の群れ構成である複雄複雌の形態や,子供同士の遊び,音声によるコミュニケーションも見ることができた。また生息地の森林の植物相は想像していたような熱帯植物のみではなく,京都市内でも見られるような広葉樹林が主であり,意外であった。それらの樹林のいずれかが結実し,ほぼ通年果実が実り,チンパンジーの主食になっており,その食痕も多く見られた。今回訪れたゴンベナショナルパークは緑豊かな森林であったが,ナショナルパークからはずれると,人による森林の伐採で裸地化している所が多く見られた。チンパンジーのみならず野生生物の生息は困難と思われ,森林保全の重要性を痛感した。タンザニア国内に森林回復のため植林を行っている場所があるらしいが,今回は訪れることができず,残念に思った。
ミクミナショナルパークでは,乾期のためそれほど多くはなかったが,ライオン,キリン,アフリカゾウ,シマウマ,ヌー,アフリカスイギュウといった主だった動物は観察することができた。 印象的残ったのは,観光客の集客への配慮が多くあった事であった。雨期に草の発芽を促すために野焼きが行われていたことであった。野焼きは主に道沿いに行われており,草の茂る季節に観光客のため動物を集める,という意図であるらしい。パーク内にはキャンプサイトまであり,純然たる観光地のようで,観光収入が野生生物保全の資金源という構図は分かってはいるが,いささか興ざめの感があった。またアフリカスイギュウの群れの中に明らかに家畜と思われるウシが入り込んでおり,野生生物保全と地域住民の生活とのギャップを感じた。

今回の研修でチンパンジーについてその生息環境も含め,多くの知見を得ることができた。生息地の植物相が,これまでおこなってきた類人猿舎放飼場への植栽と想像していたよりも類似していたことに驚きと喜びを感じ,自信となった。また野生生物保全のあり方についても多く考えさせられた。今回の研修の成果を今後の動物園の展示や観客への啓発活動,また施設整備等に活かしていきたい。

謝辞
 

本調査は科研費・特別推進研究(#20002001、研究代表者:松沢哲郎)の支援を受けておこなわれました。

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