京都大学霊長類研究所 思考言語分野

2017年度の研究概要

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チンパンジーの比較認知発達研究

友永雅己, 足立幾磨, 林美里; 服部裕子(国際共同先端研究センター), 松沢哲郎(高等研究院, 霊長類研究所兼任);鈴木樹理, 宮部貴子, 前田典彦, 兼子明久, 山中淳史, 井上千聡, ゴドジャリ静 (以上, 人類進化モデル研究センター);, 高島友子, 市野悦子,平栗明実,村松明穂, Chloe Gonseth, Duncan Wilson, Morgane Allanic, Gao Jie, 川口ゆり,瀧山拓哉,徐沈文,Yena Kim;Thibault Genisse,Barbara Ryckewaert,Shanshan Feng,Justine Castelier, JannieWu, Frederick Warner (以上、インターン生); 平田聡,森村成樹,狩野文浩(以上、熊本サンクチュアリ)

1 群 12 個体のチンパンジーとヒトを対象として, 比較認知発達研究を総合的におこなった。認知機能の解析として, コンピュータ課題、アイトラッカーを用いた視線計測、対象操作課題など各種認知課題を継続しておこなった。 主として, 1 個体のテスト場面で, 数系列学習, 色と文字の対応, 視線の認識, 顔の知覚, 身体の知覚, 赤ちゃん図式の知覚, 注意, パターン認識, 視覚探索, カテゴリー認識, 物理的事象の認識, 視聴覚統合, 情動認知,運動知覚, 推論, 行動の同調・身振りコミュニケーションなどの研究をおこなった。 また, チンパンジー2 個体を対象とし, チンパンジーの行動が他者に影響されるかどうかを社会的知性の観点から検討した。熊本サンクチュアリのチンパンジーとボノボを対象とした研究もおこなった。

 
飼育霊長類の環境エンリッチメント

友永雅己,林美里,市野悦子, 打越万喜子, 綿貫宏史朗, 松沢哲郎, 鈴木樹理, 前田典彦, 山中淳史, 井上千聡, ゴドジャリ静, 橋本直子 (以上, 人類進化モデル研究センター), 山梨裕美(野生動物研究センター)

動物福祉の立場から環境エンリッチメントに関する研究をおこなった。3 次元構築物の導入や植樹の効果の評価, 認知実験がチンパンジーの行動に及ぼす影響の評価、新設した実験スペースを活用した認知エンリッチメント、毛髪等の試料を利用した長期的なストレスの評価、エンリッチメント用の遊具の導入、採食エンリッチメントなどの研究をおこなった。2015 年に犬山第 2 大型ケージの本格稼働がはじまり、住空間の拡大が達成され、離合集散の生活が可能となった。

 
各種霊長類の認知発達

友永雅己,市野悦子, 平栗明実,Chloe Gonseth, 打越万喜子, 綿貫宏史朗, 松沢哲郎, 多々良成紀, 山田信宏(以上、高知県のいち動物公園), 安藤寿康 (慶応大), 岸本健 (聖心女子大), 竹下秀子 (滋賀県立大学)、櫻庭陽子(京都市動物園)、川上文人(中部大学) ,高塩純一(社会福祉法人びわこ学園)

アジルテナガザルを対象に, 種々の認知能力とその発達について検討をおこなった。 さらに、高知県のいち動物公園において二卵性双生児のチンパンジー、および人工保育となった脳性まひのチンパンジー幼児の行動発達を縦断的に観察している。2014 年に JMC に誕生したチンパンジーの子どもの行動発達の観察も継続した。

 
動物園のチンパンジーの知性の研究

足立幾磨, 市野悦子,櫻庭陽子,松沢哲郎

名古屋市の東山動物園のチンパンジー1 群 6 個体を対象に,屋外運動場での社会行動を観察記録した。また,「パンラボ」と名づけられたブースにおいて, 道具使用とコンピュータ課題の 2 つの側面から知性の研究をおこなった。後天的身体障害をもつチンパンジーの群れ復帰と行動変容についての研究をおこなった。

 
鯨類、ウマ、爬虫類、大型類人猿等の比較認知研究

友永雅己,山本知里,森阪匡通(東海大学),中原史生(常磐大),栗田正徳、日登弘(以上、 名古屋港水族館)、駒場昌幸(九十九島水族館),柏木伸幸,大塚美加(以上、かごしま水族館)、櫻井夏子(南知多ビーチランド)、樋口友香、寺澤夏菜(須磨海浜水族園),熊崎清則(ホースマンかかみが原),Anna Wilkinson (U. Lincoln),ThibaultGenissel,Barbara Ryckewaert、Shanshan Feng,Justine Castelier (以上、インターン生)

名古屋港水族館、九十九島水族館、かごしま水族館、南知多ビーチランド、須磨海浜水族園との共同研究として, 鯨類の認知研究を進めている。 とくに, イルカ類における視覚認知, サインの理解, 空間認知, 視覚的個体識別, 道具使用などを大型類人猿との比較研究として進めている。また、ウマを対象とした認知研究も進めている。さらに、日本モンキーセンターにおいてヤギとリクガメを対象とした比較認知研究も進めている。

 
アジア大型類人猿の比較認知研究

林美里, 市野悦子, 金森朝子, Renata Mendonça, 松沢哲郎 幸島司郎, 久世濃子 (以上, 野生動物研究センター);山崎彩夏 (東京農工大),竹下秀子 (滋賀県立大学) , 齋藤亜矢 (京都㐀形芸術大学), Sinun Weide (ヤヤサンサバ財団), Hamid Ahmad Abdul (マレーシア・サバ大), Dharmalingam Sabapathy (オランウータン島財団), Daniel Baskaran(プラウバンディング財団), Mashhor Mansor (マレーシア科学大学)

マレーシアのサバ州で野生オランウータンの生態と行動の調査をおこなった。また, マレー半島の飼育オランウータンを対象とした認知研究と, オランウータンを野生復帰させる試み、母子ペアの行動観察をおこなっている。

 
WISH 大型ケージを用いた比較認知科学研究

友永雅己, 林美里, 川上文人, 松沢哲郎, 足立幾磨, 高島友子, 市野悦子, 平栗明実

2011 年度に WISH 事業で導入された比較認知科学大型実験ケージ設備(犬山第 1 および第 2)の運用を進めている。犬山第 1 ではチンパンジーの飼育環境の中に実験装置を導入し、いつでもどこでも好きな時に実験に参加できる環境を構築し、数時系列課題や見本合わせ課題などを実施している。また、犬山第 2 ではチンパンジー集団の社会行動の研究を進めている。