最終更新日:2017年12月23日

第1回 犬山認知行動研究会議

The 1st Inuyama Cognition & Behavior Meeting (ICBM-1)

日時
2018年1月6日 13時開始 1月7日 17時頃終了
場所
京都大学霊長類研究所
参加費無料、予約不要
主催
犬山認知行動研究会議実行委員会
共催
科学研究費補助金 基盤研究(S)「野生の認知科学」
関西学院大学社会心理学研究センター
暫定プログラム (敬称略)

内容は変更される可能性があります。

2018/1/6(土曜日) 午後


12:00

受付開始


13:00

伊藤君男

私たちは説得されていない。

説得的状況において,人は説得者の意見をよく考えて自分の態度を決定していると感じている。しかし,実際には説得内容は態度に反映されず,既有の態度を維持しているだけであるのに,そのように感じていないだけではないだろうか。今回は研究のアイディアとその予備的な実験データを報告する。


13:25

池田功毅

トレンド・ウォッチ再現可能性

衝撃のBem 論文から始まった心理学の再現可能性問題も、2018年でいよいよ7年目に突入。事前登録制度の普及や追試の増加など、良い流れが確実に増加している一方で、ラボ間のコラボや p<.005など新たな試み/問題/疑問が湧いてきています。そんな気になる再現可能性トレンドをざっくりまとめて紹介します。


13:50

服部裕子

チンパンジーにおけるリズムと社会性

近年、ヒトのコミュニケーションでは個人間の動きや発話のリズムが重要な役割を果たしていることが明らかにされてきている。一方で、ヒト以外の霊長類ではコミュニケーションにおける時系列的な特徴はこれまであまり注目されてこなかった。本発表では、チンパンジーの個体間コミュニケーションにおけるリズムと社会的関係形成について議論する。


14:15

原田悦子・池永将和

加齢と対話:高次認知機能としての会話を考える

超高齢社会の中,高齢者との対話機会が増大している.一般に言語機能は加齢の影響を受けにくいというされるが,対話を必要とする現場では対高齢者コミュニケーションの負担増が実感されている.加齢によって対話はどのように変化しているのか,それはなぜなのか,認知心理学的アプローチから検討する.


14:40

荷方邦夫

ヒトの感性を反映したモノづくり支援-感性価値の構造とデザイン支援システムの構築-

個人がデザインを伴うモノづくりを試みる際に、個々の感性を反映したデザイン行為を実現する支援ツールの開発について。心理学研究者がある日突然理工系のプロジェクトに参加することになった時、何を考え、何をしたのかを含めて紹介。


15:05

鳥山理恵

思春期3000人のコホート調査に関わって

2012年に開始の「思春期の健康・発達に関するコホート調査」の紹介と、その多岐に渡る調査項目の中から、子どもの主観的幸福感と親子関係に関する分析結果を報告します。実験心理屋さんがある日突然疫学分野に飛び込んで、そこで受けたカルチャーショック等についても適宜混ぜ込めたらと思います。


15:30

休憩


15:45

友永雅己

ふるまいから探るチンパンジーのこころ:データの墓場からゆりかごまで

タッチパネルを用いたコンピュータ課題で得られる反応時間や成績だけでなく、「副次」的に得ることができるチンパンジーたちのふるまいから心を探ることも可能だ。それを妨げてきたのは技術的な問題と研究者のやる気だろう。今回のトークでは、まだ論文公表していない「墓場」寸前のデータからできたほやほやのデータの「ゆりかご」までをちら見せする。


16:10

渡邊芳之

パーソナリティ心理学と個人差の科学

心や行動の個人差を測定しその測定値と他の諸変数との関係を分析する「個人差の科学」として発展するパーソナリティ心理学と,オールポートが最初に構想した「個人の適応の心理学」としてのパーソナリティ心理学はどのように関係するか,そもそも「個人の適応の科学」は可能なのかについて考えたい。


16:35

高橋康介

顔認識の多様性を知る

我々は異文化比較フィールド実験という手法により認知の多様性についてのアプローチを試みている。まだ試行錯誤段階の研究アプローチではあるが、顔認識や表情認識の多様性を中心に、これまでに得られた成果、これからの展望、そして異文野融合の面白さについて紹介したい。


17:00

後藤和宏

海馬神経回路から脳の左右差を考える

マウスの海馬神経回路にはNR2Bサブユニットの非対称なシナプス分布に基づく構造的・機能的非対称性が存在する。この非対称性を消失した複数種のマウスのワーキングメモリが障害されていることが明らかになった。これらの結果から神経回路特性と脳機能の左右差について議論する。


17:25

岡耕平

障害支援領域における適応認知行動研究のニーズとシーズ

障害支援領域における実際の問題や論題について紹介し、日常の適応認知行動における研究のニーズやシーズを整理する。認知的困難のある児童生徒の学習への介入とその評価の課題や、社会参加に困難がある成人が求める支援のための課題などを紹介し、応用と基礎の間を繋ぐ議論を目指す。


17:50

大久保街亜・Bruno Laeng

人種錯視:新しい説明

黒人の顔は、物理的に等輝度であっても、白人の顔より暗く見える。この現象は人種錯視と呼ばれ、知識によるトップダウンの影響が明るさ知覚を変化させる稀有な例とされてきた。本研究では眼球運動と瞳孔の計測に基づき、人種錯視の新たな説明を提案する。


18:15

中尾央

先史時代の争い

人類進化の文脈において,集団間の争いが利他行動の進化にとって重要な役割を果たしたとする議論が注目を浴びている.本発表では特に先史時代の日本の人骨・人口動態のデータを用い,この議論を検討する


懇親会

2018/1/7 午前


9:00

村井千寿子

物が落下する時、しない時。ニホンザルとチンパンジーの場合

物体はどのような状態なら落下するのか?ヒトとその他霊長類を対象に、物理的支持事象の認識を比較した。その結果、ヒトと他の霊長類が同じように認識する支持事象と、種によってその認識の仕方が異なる事象のあることが示された。その類似と相違から、霊長類種の見る「物の世界」の特徴を考える。 


9:25

牛谷智一

動物の錯視研究を通じて知りたいこと

ハト使って錯視研究なんてどういう意味があるの,という問いに対して,現在進行中の拡散性大きさ錯視,エビングハウス錯視,カニッツァ錯視,の研究を紹介して答えたい。進化的に遠い種との共通点と相違点が,我々ヒトの視知覚メカニズムの意外な側面を明らかにする(かもしれない)。


9:50

小川洋和

某私立大学における心理学ゼミ運営の一事例報告

現所属に着任してから丸5年になろうとしているが、研究室をどのように運営すべきか頭を悩ませない日はない。この発表では、研究室の運営方針、これまで得られた研究成果、現状の問題点、将来の目標について赤裸々にご披露したい。参加者のみなさんの忌憚なきご意見をいただければ幸いです。


10:15

三浦麻子

Psychology of psychological research

自分自身の最近の研究を振り返り,今後の研究計画を展望すると,これらは「心理学研究の心理学」だという思いに至った.本発表では,オンライン調査におけるSatisficeが回答行動に及ぼす影響に関する研究と社会心理学研究の再現可能性検証に関わる活動を紹介し,今後の企みをちょっとだけ匂わせたい.


10:40

大北碧・澤幸祐

「人馬一体感」が生じるプロセス

ヒトとウマの関係性を表すものとして人馬一体という言葉がある。人馬一体感とはどのようなものか、どのようなプロセスで生じるのかを調査・実験の両面から検討したところ、騎手の指示とウマの行動変化の時間的接近が「ウマとわかり合えた」といった人馬一体感の生起に重要であることがわかった。


11:05

松田昌史

日本の少子高齢化を人口過密で説明する: 人口密度と生活史戦略の相関分析

世界の国や地域およびアメリカ各州の統計を分析すると、人口密度が高まると出生率低下や初婚年齢上昇など少子化の傾向を呈する(Sng, et al., 2017)。この知見について、日本の都道府県データを用いて検討した。所得を調整すると出生率の相関は消えるが、初婚年齢の効果は残った。


11:30

小森政嗣・一言英文・竹村幸祐・打田篤彦・内田由紀子

携帯端末による農村の重層的社会ネットワークの調査とネットワークの分解

社会的接触を小型携帯端末の「すれちがい通信」により長期間にわたり計測するシステムを構築し,農村地域の集落にて調査を開始した.得られた社会的接触履歴データに対して因子分解を行うことで,複数のサブネットワークが重畳した社会ネットワークとして集落の社会的関係を記述することが可能となる.


11:45

武田美亜

イワシ玉,下から見るか,横から見るか?:動物,特に海の動物をヒトはどう認知するか

最近始めた動物観に関する研究と,最近もくろみ始めた水中でのヒトの行動や水中動物に対する認知に関する研究の卵的な話をご紹介します。アイディアのインキュベーションにお力添えをいただければ幸いです。


12:10

昼食

2018/1/7 午後


13:00

村山綾

内在的公正推論の規定因

「日頃の行いが悪いから不運な目にあったのだ」に見られる内在的公正推論は、欧米では宗教心が強いほど行われやすいが、日本では関連がない。一方で、日本人はアメリカ人よりも内在的公正推論を行う。日本人における内在的公正推論のしやすさの規定因として二分法的思考を取り上げ考察する。


13:25

鮫島和行

相互強化学習による記号インタラクションモデル

コミュニケーションの基礎である他者とのシグナル交換のメカニズムを、複数の行為主体が相互に強化しあうことで学習する数理モデルによって説明することを試みる。人どうしの少数の図形交換のゲーム実験、人が動物に訓練する際の訓練発話観察、の2つの例にモデル化のアイデア提示と議論を行いたい。


13:50

清河幸子

ひらめきはいかにして生じるか?―思考の言語化が洞察問題解決に及ぼす影響を手がかりとして―

本発表では,普段とは異なる問題の捉え方や解法を見出すことが必要となる洞察問題解決がいかにして進展するのかを明らかにすることを目的とする。具体的には,思考の言語化が洞察問題解決に及ぼす影響を検討した研究を概観し,通常の問題解決との比較を通じて,その性質を明らかにする。


14:15

三船恒裕

信念、あるいは人間観の社会心理学

人間の行動原理の理解には選好(preference)だけでなく、信念(belief)も重要である。発表者は内集団ひいき行動における信念(他者の反応予測)の重要性を実験で示してきた。本発表ではこの観点を外集団攻撃に適用した実験と、信念を支える神経基盤を検討したMRI実験を紹介する。


14:40

清水裕士・稲増一憲

社会調査データへの統計モデリングアプローチ

近年、認知ベイジアンモデリングが流行しているが、質問紙調査データにも(こそ)ベイズ統計モデリングが有用であることを論じる。その例として母集団分布の形状を推定するあたらしい項目反応モデルを提案し、政治的イデオロギーの母集団分布の形状を推定した研究を紹介する。


15:05

東島仁

これからの研究と疾患当事者・市民参画のあり方とは?

研究への疾患当事者・市民参画(PPI)は欧米を中心に認識され、国内でも臨床応用や産業化を目指す領域でPPIのあり方が検討され始めている.ただし基礎研究領域では検討が遅れている.本報告ではPPIを巡る国際動向と国内状況を示し、国内の認知行動領域の基礎研究のPPIの今後を考えたい


15:30

平石界・川端友里奈・野村海帆・重松英憲

男の誤解という誤解(かも):Men's overperception effectの追試から

「それが妄想だとしても、声を掛けてみなきゃ始まらない」(秋元康「フライングゲット」)とは言い得て妙で、Haselton & Buss (2000)も「男ってば勘違いにエラー管理」と言うけれど、追試してみたら、なんか実は女の小狡い恋の駆け引きなんじゃないかって気がしてきました。という話をします。


15:55

森裕紀

混合確率的 偏正準相関分析:線型的因果関係の混合モデルによる因果パターン抽出

一般的な統計的因果関係解析では対象とする二つの時系列が同じ因果関係に支配されていると仮定する。しかし、実世界では信号パターンによって異なる因果関係を持っている。本研究では線型モデルに基づくGranger Causality の混合モデルを提案して、実データに適用し、因果関係に基づくパターン抽出を行なった。

ics2

犬山認知行動研究会議は、2015年度まで開催されていた犬山比較社会認知シンポジウム(Inuyama Comparative Social Cognition Symposium 略称: ICS2)が出発点となっております。2017年度から犬山認知行動研究会議(ICBM)に模様替えして、一層活発な情報交換の場を提供してまいります。

ICS2ホームページ:https://langint.pri.kyoto-u.ac.jp/langint/news/ics2/